日々の症例 47 虫垂粘液嚢腫



 


47) 60歳代、男性。無症状。USで右下腹部に嚢胞性病変を指摘された。

>画像所見 : USで盲腸直下に3x4cmの嚢胞性病変がみられる。嚢胞後壁に層状構造が描出されていることから消化管由来の病変と考えられる。造影CTでも同様に嚢胞性病変が確認され、明かな異常濃染や壁在結節はみられない。注腸X線検査では虫垂が描出されず、盲腸に壁外性圧排がみられる。
>診断 : 虫垂粘液嚢腫(mucocele of the appendix)
>解説 : 虫垂粘液嚢腫は糞石や炎症、あるいは腫瘍性病変による虫垂根部の閉塞が原因で虫垂が嚢腫状に拡張するもので、嚢胞内容が漏れると腹膜偽粘液腫を生じる。病理組織学的に simple mucocele(25%)、mucinous cystadenoma (63%)、mucinous cystadenocarcinoma(12%) に分類されている。本例のようにUSで壁の層状構造が確認できれば虫垂を含めた腸管由来であることの根拠となり、限局性腹水や膿瘍、卵巣嚢腫などとの鑑別が可能となる。術前画像診断および術中所見でも良悪性の鑑別は困難なことが多く、回盲部切除が施行されることが多い。本例も回盲部切除が施行され、虫垂粘液嚢胞腺腫と確診された

  
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