81)20歳代、
>画像所見 : USで拡張した総胆管内に索状構造物が描出され、臨床症状とも総合して総胆管内に迷入した回虫が疑われた。引き続いて施行したMRCPでも左肝管から総胆管にかけて細長いfilling defectを確認した。 >診断 : 胆道内回虫迷入症 (biliary ascariasis) >解説 : 本例は中国から来日中の青年であり、特徴的画像所見から診断は容易であった。内視鏡的に虫体を回収したところ、全長17cmの生きた雄の回虫であった。処置翌日に駆虫剤(パモ酸ピランテル500mg)を経口投与したが虫体の排泄は認めず、単数・単性感染と考えられた。 本邦での回虫症は激減したとはいえ、有機栽培野菜の摂取や海外旅行者などでの感染例は散見される。人の糞便と共に外界に出た回虫卵の経口摂取で感染する。成虫は太さ数ミリ、長さは15~30cmほどで、雌の方が大きい。寿命は1〜2年。通常、成虫は小腸に寄生し、症状を伴わないことが多いが、多数の虫体が一塊となって腸閉塞を引き起こしたり、胆道系や膵管、虫垂などに迷入して急性腹症を引き起こすことがある。 |
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