日々の症例 73 無気肺と閉塞性肺臓炎



 


73-1
70歳代、男性。風邪症状で来院。

>画像所見 : 右上葉は無気肺化している。肺門部はやや下方に凸で、これに連続する無気肺陰影の中枢側は上方に凸。いわゆるGolden inverted S sign(逆S字状カーブ)を示しており、肺門部腫瘍による上葉無気肺と閉塞性肺臓炎が示唆される。
>診断 : 肺癌による右上葉無気肺と閉塞性肺臓炎
>解説 : 右上葉が完全に無気肺化すると、肺尖部〜気管右壁にへばりつくように濃厚な陰影を形成するが、肺癌などで気管支閉塞が徐々に進行するような場合には、無気肺と共に閉塞性肺臓炎を伴うことが多い。上葉無気肺によるminor fissure の上方への挙上、およびその無気肺の原因となった腫瘍下縁の突出像からなる逆S字状カーブは1925年にGolden が最初に指摘したもので、Golden inverted S signとして知られている。

 
73-270歳代、女性。咳と全身倦怠感。

>画像所見 :
Chest X-p : 右上葉に強い閉塞性の変化(無気肺と閉塞性肺臓炎)がみられ、肺門部にも腫瘤影が疑える(↑)。
造影CT : 右上幹は腫瘍で閉塞し、気管および気管支周囲のリンパ節も腫大している。右胸水も貯留している。
>診断 : 肺癌による上葉無気肺と閉塞性肺造園
>解説 : 気管支鏡では右上幹が腫瘍で占拠され、組織学的に扁平上皮癌が確認された。胸水の細胞診も陽性であり、StageⅢb(T4N2M0)である。

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