日々の症例 65 結核性慢性膿胸の疑い



 


65)70歳代、男性。無症状

>画像所見 : 左肺に長径12cm以上の被包化された液貯留があり、びまん性に壁の石灰化を伴っている。胸壁との間の胸膜下脂肪層は厚くなっている。左胸郭の縮小も明か。
>診断 : 結核性慢性膿胸の疑い(tuberculous pyothorax)
>解説 : 本例は無症状であり、炎症所見もないことから、細菌性膿胸は否定できる。著明な壁の石灰化と胸膜下脂肪織の増生、患側胸郭の縮小はいずれも結核性慢性膿胸の所見として矛盾しない。結核性慢性膿胸が急速に増大する場合は、出血性膿胸や胸壁悪性リンパ腫の合併を疑う必要があるが、不用意に穿刺すると難治性の瘻孔が形成され、いわゆる胸壁穿通性膿瘍になる可能性が高い。従って、結核性膿胸を疑った場合の穿刺・ドレナージは原則禁忌である。


                                                      寺元記念病院画像診断センターへ