64-1)70歳代、女性。腹痛。 |
>画像所見 : 腹部単純撮影で部分入れ歯のバネが2個明かに確認できる。歯の部分はプラスチック製のため描出されないが、部分入れ歯の固定に使用する針金の形状が明瞭に写っている。5日後に施行したガストログラフィンを用いた小腸透視でも誤飲した部分入れ歯はほぼ同一部位に留まっており、小腸ケルクリング襞は腫大している。USでも小腸内異物と壁外に突出する低エコー腫瘤がみられ、炎症性肉芽腫を形成しているものと考えられる。 >診断 : 小腸内異物(foreign body in the small intestine) >解説 : 詳細に問診を行ったところ、最近になって部分入れ歯を紛失していることが判明した。おそら3週間ほど前に食べた餅と一緒に誤飲したと考えられる。保存的治療で腹痛は軽減したが、同部に圧痛もあるため、第16病日目に開腹手術を施行したところ、小腸の癒着が強く、針金部分は小腸壁を貫通していた。 |
64-2)50歳代、女性。腹痛。 |
>画像所見 : USで下腹部圧痛点を丹念に走査していると、小腸壁の限局性肥厚および小腸内腔に線状の髙エコーが描出された。CTでも小腸内腔に線状の石灰化像がみられ、多方向から画像再構成を行うことで、この魚骨と考えられる線状の石灰化は小腸内腔に存在し、小腸壁を突き破っていないことを確認した。但し、この小腸近傍にdirty
fat signがみられ、炎症の波及が示唆される(▲)。 >診断 : 小腸内異物(魚骨) >解説 : 詳細に問診したところ、前日の朝食で焼き魚(鮭)を食べていたことが判明したが、本人には魚骨を誤飲したという自覚はなかった。保存的療法で腹痛は軽快し、魚骨も消失(排泄)した。 |
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