51-1) 70歳代、男性。左水腎症の精査目的で排泄性尿路造影(DIP)を施行した。 |
>画像所見 : 排泄性尿路造影(DIP)で左腎は描出されず、2時間後の追加撮影でも腎盂が造影されないためCTを追加したところ、腎外に造影剤の漏出が確認された。 >診断 : 自然腎盂外溢流(Spontaneous peripelvic extravasation) >解説 : 腎盂外溢流は尿路結石などによる腎盂内圧の急激な上昇に対する安全機構として尿が腎盂外に溢流するものと考えられており、解剖学的に最も弱い部位である腎杯円蓋部に微細な亀裂が生じて尿が腎盂外に流出する。ウログラフィンなどの高浸透圧性造影剤を使用していた時代にはさほど珍しい病態ではなく、結石発作時のDIPは禁忌とされていた。最近の低浸透圧造影剤を用いたDIPや造影CTが契機で腎盂外溢流を認めることはまれである。 本例は背部痛などの訴えはなかったが、念のため腎盂と膀胱の間にdouble Jカテーテルを挿入して経過観察を行い、1週間後には腎周囲に溢流した尿もほぼ完全に消失した。水腎症の原因は尿管腫瘍であり、左尿管・腎全摘および膀胱部分切除が施行された。 |
51-2) 50歳代、男性。右背部痛。 |
>画像所見 : 右尿管下部に結石がみられ(↑)、このため水尿管(hudroureter)と水腎症(hydronephrosis)になっている。右腎周囲腔から前腎傍腔、さらに尿管周囲にwater density も広がっている。 >診断 : >解説 : 尿管結石などで腎盂内圧が急激に上昇することに起因する尿の腎外溢流はまれではない。通常は、腎盂周囲から腎外に尿が漏れるが、腎杯から髄質、皮質を穿破して被膜下や腎周囲への溢流の報告もある。本例は保存的な経過観察で、尿管結石の排石、および腎外に漏出した尿の吸収・消失を確認した。 |
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