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>画像所見 : 胸部単純X線写真で肺気腫の他に両側横隔膜下に大量の腹腔内遊離ガス(air dome sign)がみられる。腹部単純X線写真でも腹腔内遊離ガスの他に小腸壁に沿った線状のガス像が広範囲にみられる。経口小腸造影では小腸壁に沿った小嚢胞状ガス像がfilling defectとして描出され、一見するとpolyposisと紛らわしい。 >診断 : 腸壁気腫(pneumatosis intestinalis)に伴う気腹 >解説 : 無症候性の腹腔内遊離ガスの原因として、女性では膣から卵管経由で腹腔内に空気が流入することが知られているが、まれに本例のような腸壁気腫が原因で腹腔内free airのみられることがある。腸壁気腫とは粘膜下層あるいは奬膜下層にガスが漏出した状態であり、原因としては 1)腸管壊死 2)何らかの腸管粘膜損傷 3)腸管粘膜の透過性亢進 4)肺疾患 5)特発性、が考えられている。本例は高度の肺気腫であったが、初診時に縦隔気腫は認められず、原因については推測の域を出ない。特異的な症状はなく、下痢、便秘、腹部膨満感、腹痛などがみられる。不要の開腹手術を避けるためにも、臨床症状などを総合した正確な診断が不可欠である <メモ> ・腹腔内遊離ガス (気腹) の原因 1) 消化管穿孔 2) 穿通性外傷 3) 開腹術後 (術後2〜3週間まで) 4) 経膣性 5) 腸壁気腫 6) 縦隔気腫/肺気腫 7) 特発性 |