日々の症例 40 髄膜腫




40-1) 60歳代、女性。 ふらつくことがある。

>画像所見 : 右頭頂葉の大脳鎌に接して約3cm大の境界明瞭な高吸収値を示す腫瘤がみられる。内部に石灰化を有し、隣接する脳実質にわずかに脳浮腫を伴っている。造影剤投与によって著明な増強効果がみられる。
>診断 : 髄膜腫 (meningioma)
>解説 : 髄膜(主にくも膜)から発生する頭蓋内、脳実質外良性腫瘍であるが、半数以上の症例で腫瘍近傍の脳実質に浮腫がみられる。傍矢状洞、大脳鎌、円蓋部、蝶形骨稜、鞍結節、嗅窩、小脳橋角部などに好発する。硬膜と接して半球状に増大するが、まれに皿状に発育することがある(meningioma en plaque)。単純CTでは境界明瞭な淡い高吸収域を示し、石灰化巣を伴うことも多い。造影CTでは著明な造影効果を示す。


40-2) 70歳代、男性。めまいの精査でMRI施行。


>画像所見 : 右頭頂部で硬膜に接してT1強調像で脳実質よりやや低信号、T2強調像とFLAIR像でやや高信号、Diffusion像で不均一高信号を示す腫瘤がみられる。脳実質は圧排されており、腫瘤と接する硬膜もやや肥厚(dural tail sign)していることから、脳実質外病変であることが分かる。
>診断 : 髄膜腫 (meningioma)
>解説 : 髄膜腫は基本的に細胞密度が高く水の動きが制限されるので、Diffusion像では高信号を示す。硬膜のある部位であればどこにでも発生し得るが、1)parasagital 2)falx 3)convexity 4)olfactory groove  5)C-P angle 6)tuberculum sellae 7)sphenoid ridge に好発する。

   

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