36-1) 10歳代、女児。腹痛、嘔吐。 |
>画像所見 : 腹部単純X-p立位像で胃内のガスによるdouble
bubble signがあり、十二指腸での閉塞機転が疑える。CTでは上腸間膜動脈(SMA)と上腸間膜静脈(SMV)の位置関係が左右逆になっており、SMAを取り囲むように腸管もみられる。薄いバリウムを服用させたところ、十二指腸はとぐろを巻くようにして尾側に向かって走行し、正常な十二指腸ループがみられない。 >診断 : 腸回転異常に伴う腸軸捻転 >解説 : 上部消化管造影で正常の十二指腸ループがみられないことか、腸回転異常症の確定診断ができるが、CTあるいはUSでも上腸間膜動・静脈の位置関係に注目することで腸回転異常症の診断は可能である。腸回転異常が原因で腸閉塞をきたす原因としては、Ladd靱帯で代表される異常な腹腔内索状物による締めつけによる場合と、本例のような腸軸捻転を合併することによる場合が考えられる。 |
36-2) 80歳代、女性。前日から腹痛出現し、イレウスの診断で緊急入院。 |
>画像所見 : SMVはSMAの左側〜腹側に位置している。SMAを中心軸として小腸と上腸間膜静脈、腸間膜が渦巻いている(whirl sign)。大動脈の前面を横切るはずの十二指腸水平脚も確認できないことから、腸回転異常に伴う腸軸捻転と診断できる。腹水も多量に貯留している。 >手術所見診断 : nonrotation型腸回転異常で、小腸がSMAを中心に反時計方向に180度捻転していた。約700mlのクリームシチュー様の乳糜腹水が貯留していた。腸管壊死を認めなかったので、捻転を解除し、盲腸と上行結腸を後腹膜へ縫合固定して閉腹した。 >診断 : 腸回転異常に伴う腸軸捻転 |