日々の症例 34 ガングリオン





34) 40歳代、女性。右膝に腫瘤が触れる。

    

>画像所見 : 右大腿骨下端外側で、外側広筋直下の結合織内にT1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示す1x3cm大の多房性cystic lesionがみられる(→)。下方では外側側副靱帯に接している。
>診断 : ガングリオン
>解説 : ガングリオンは内部にゼラチン状の粘稠な液体を含む嚢胞性病変で、腱鞘、関節包、靱帯などに接してみられる。手首に好発するが、次いで足首、膝関節周囲に多い。MRIではT1WIで低信号、T2WIで高信号を呈する。本例のように隔壁構造を有し、分葉状あるいは多房性のことも多い。関節周囲の嚢胞性病変としてはガングリオンと滑液嚢胞が代表的だが、内溶液の性状だけでなく、病理組織学的にも両者の厳密な鑑別は困難で、用語の使い分けはむしろ慣習上の違いとされる。


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