日々の症例 32 左鎖骨下動脈閉塞とsubclavian steal




32-160歳代、男性。上腕の血圧に左右差(rt lt)があるため、造影MRAを依頼された。

>画像所見 : 左鎖骨下動脈は起始部から1cmほどの部位で完全閉塞()しており、椎骨動脈()を経由して鎖骨下動脈(※)が造影されている。
>診断 : 左鎖骨下動脈閉塞とsubclavian steal

>解説 : 
2年前に冠動脈狭窄に対してステント挿入術が施行され、経過観察中の患者。血圧に左右差(右上腕124/78、左上腕90/触)があるため、MRAを施行したところ、典型的な左鎖骨下動脈閉塞とsubclavian stealが確認された。鎖骨下動脈が椎骨動脈の分岐部より中枢側で閉塞し、椎骨動脈を経由して末梢の鎖骨下動脈に血流が供給される病態で、脳虚血発作やめまいなどの椎骨・脳底動脈系の症状をきたす場合は鎖骨下動脈盗流症候群(subclavian steal syndrome)と呼ばれる。本例は動脈硬化性閉塞と考えられるが、高安動脈炎による鎖骨下動脈閉塞も多い。従来、確定診断のためには血管造影が行われていたが、現在ではこのようにMRアンギオで無侵襲に診断できる。

32-280歳代、男性。血圧に左右差あり。

>画像所見 : 左鎖骨下動脈起始部は閉塞しており()、椎骨動脈を経由して鎖骨下動脈が造影されている。
診断 : 左鎖骨下動脈閉塞とsubclavian steal

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