日々の症例 222 肘頭滑液包炎 (olecranon bursitis)




22270歳代、男性。左肘頭部から前腕伸側にかけての無痛性の軟腫瘤

>画像所見 : 肘頭から前腕伸側の皮下に沿って紡錘状に嚢胞性腫瘤がみられる。内部は隔壁様構造が目立ち、内側壁は不整。嚢胞壁の肥厚もみられる。
>診断 : 肘頭滑液包炎(olecranon bursitis
>解説 : 
頬杖などの慢性的な負荷が原因になり、肘頭と皮膚との間に存在する皮下滑液包に液貯留をきたした病態で、学生肘などとも呼ばれる。
 滑液包炎の好発部位としては、肘頭皮下(肘頭滑液包炎)の他に、肩関節周囲、股関節周囲(腸腰筋滑液包炎、大転子滑液包炎、坐骨滑液包炎など)、膝蓋骨前面(膝蓋前滑液包炎)、膝窩(Baker's cyst、脛骨近位部前内側(鵞足滑液包炎)、アキレス腱付着部(踵骨後滑液包炎)などがあげられる。
 滑液包炎と滑液嚢腫はほぼ同義と思われる。また、滑液包に生じたものを滑液嚢腫、それ以外のものはガングリオン嚢腫と呼ばれるが、病理組織学的にも両者の鑑別は難しいとされ、鑑別する臨床的意義も乏しい。

 

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