日々の症例 209 自動縫合器を用いた胃術後




20970歳代、男性。2年前に胃手術。無症状

>画像所見 : 
US:第3層(粘膜下層)がやや肥厚し、粘膜層から粘膜下層に強い線状髙エコーがみられる。所々で彗星のように尾を引くアーチファクト(comet-like echo)を伴っている。単純CT:胃壁に石灰化あるいは金属と思われる線状の高吸収がみられる。腹部単純X線写真:拡大して確認すると、ホッチキスの針金様の形状をしており、自動縫合器のステープルであることが分かる。
>診断 : 
自動縫合器を用いた胃術後(ステープラーリング)
>解説 : 
本例は噴門側胃切除術後で、自動縫合器を用いた機能的端々吻合(functional end to end anastomosis)が施行されている。当初、胃粘膜下層の石灰化も疑ったが、腹部単純X線写真では典型的なステープル針であることがわかる。自動縫合器を用いた消化管手術の普及に伴い、ステープラーリングが胃壁内の線状髙エコーとして確認できる症例を経験するようになってきた。
 機能的端々吻合の利点としては、1)吻合する腸管径の差を考慮する必要がなく、2)大きな吻合径が得られ、3)解剖学的には側側吻合だが機能的には端々吻合になること、などがあげられる。


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