205)70歳代、女性。言動がおかしい。 |
>画像所見 : T2強調像で右前頭葉に屈曲蛇行した血管がflow voidとしてみられる。
MRAでは屈曲蛇行した血管網を経由して太い流出静脈が上矢状静脈洞に注いでいるのが分かる。 >診断 : 脳動静脈奇形 Arteriovenous malformation(AVM) >解説 : 脳脊髄の血管奇形は以下の5型に分類される。4)5)は無症状のことが多く、通常、治療の対象とはならない。 1)脳動静脈奇形 Arteriovenous malformation(AVM): ナイダス(nidus)と称される屈曲蛇行した異常血管網を介して動脈と静脈が短絡する先天異常。流入動脈あるいはnidus内に動脈瘤を認めることも多いので、読影には注意を要する。出血、痙攣、頭痛などの原因となる。 2)硬膜動静脈瘻 Dural AVF: 硬膜動脈が流入動脈となり、頭蓋内静脈洞と短絡するが、AVMのようなnidusは介在しない。海綿静脈洞部や後頭蓋窩(特に、横静脈洞からS状静脈洞部)に好発する。先天性のことが多いが、外傷などによる静脈損傷に続発することもある。 3)海綿状血管奇形(海綿状血管腫) Cavernous malformation: 大脳半球皮質下や橋に好発する。しばしば新旧の出血および石灰化を伴う。30〜50%が多発性。病変が小さい場合はMRIのT2*で低信号のみを示し、微小なhemorrhagic scar との鑑別は困難。造影効果なし。 4)毛細血管拡張症 Capillary telangiectasia: 拡張した毛細血管の集合。剖検で偶然発見されることが多かったが、MRIの普及によってT2*強調像や磁化率強調像で低信号病変として診断できるようになった。造影効果あり。 5)静脈奇形 Venous malformation: 前出 |
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