185)A:20歳代、女性。スクリーニングUS。 B:30歳代、女性。交通事故による腹部打撲後。 |
>画像所見 : いずれも子宮の後面のいわゆるダグラス窩にごくわずかなエコーフリースペースがみられる(→)。 >診断 : ダグラス窩に少量の腹水貯留 >解説 : 腹水の検出にはUSがもっとも優れている。腹水の貯留しやすい部位はモリソン窩、ダグラス窩、および肝と脾の周囲である。女性では子宮を音響窓としてダグラス窩にしばしば少量の腹水が描出され、月経血の腹腔内への逆流や排卵に伴う生理的な腹水と病的な腹水との鑑別が必要となる。症例Aでは子宮内膜は肥厚していることから排卵後の分泌期と考えられ、無症状であることも総合すれば、月経周期に伴う生理的腹水と思われる。症例Bは交通事故による腹部打撲後で、腹腔内出血の可能性が高い。 <メモ> 外傷時特定部位超音波検査(FAST: focused assessment with sonography for trauma) 外傷の初期診療においては、心嚢、左右肋横角、モリソン窩、脾周囲、ダグラス窩の6か所をすばやく超音波検査を行い、心タンポナーデ、腹腔内出血、血胸の有無を確認することが重要とされている。FAST は必要に応じて繰り返し行うこと。 |