日々の症例 181 腹膜垂炎



18140歳代、女性。右下腹部痛、急性虫垂炎の疑い。

>画像所見 : 右下腹部の圧痛点直下に約23cmの高エコー腫瘤像がみられた。CTではこの腫瘤はBauhin弁直上の上行結腸から管外に突出しているようにみえる()。内部は索状構造を有する脂肪成分が主体で、腫瘤を包み込むような被膜様構造もみられる。
>診断 : 腹膜垂炎(acute epiploic appendagitis

>解説 : 
腹膜垂は結腸紐に沿って垂れ下がるように存在する葉状の脂肪塊であり、表面は腸管から連続する奬膜で被われている。腹膜垂炎の原因としては、憩室炎などの炎症の波及や捻転による血行障害が考えられるが、軽症のものも含めると決してまれな疾患ではないかもしれない。腹部局所症状が強いが、白血球増多や発熱などの感染所見が比較的乏しい場合は本症も念頭に置くことが重要。通常は鎮痛剤などの保存的治療で軽快する。本例のCTのように、結腸に接して被膜様構造を有する脂肪塊があれば診断は容易。内部の索状構造は血栓化した静脈を表している可能性が高い。


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