179)60歳代、女性。右側腹部腫瘤に気づく。 |
>画像所見 : 右腎を取り巻くように腫瘤が広がり、腎は腹側に偏位している。腫瘤自体はhypovascularで、腫瘤内を既存の腎動静脈が走行している(↓)。肝腎の実質内にも浸潤しているようにみえる。 >診断 : 後腹膜悪性リンパ腫 >解説 : 生検でdiffuse large B cell lymphomaと病理診断され、化学療法で腫瘍はほぼ消失したが、2年後に腸骨や下肢などの他部位に再発をきたした。腎原発の悪性リンパ腫は非常にまれで、他部位からの転移、あるいは後腹膜原発で腎に直接浸潤したものが大半を占める。本例も、後腹膜原発で、肝腎に浸潤していると考えられる。 悪性リンパ腫は比較的柔らかい腫瘍で、既存の血管を閉塞させることなく増大する傾向がある。従って、本例のように腫瘍内を既存の血管が走行していることが確認できれば疾患特異的といえる。また、音響学的に均一(均一な腫瘍細胞が密に分布)なため、USでは極めて低エコーレベルを呈するのも特徴的。未治療の悪性リンパ腫は大きくなっても壊死や変性を認めず、既存の血管・臓器を取り巻くように増大することも診断の決め手となる。 |