日々の症例 156 中葉症候群



156中葉症候群(middle lobe syndrome

156-1) 80歳代、男性。誤飲を繰り返す。

>画像所見 : 右下肺野で縦隔側に底辺をおく三角形の陰影がみられる。葉間胸膜で境界されていることからも、中葉の完全な無気肺と診断できる。
>診断 : 中葉無気肺

>解説 : 右肺の中葉と左肺の舌区にはしばしば炎症や無気肺がみられる。肺癌やリンパ節腫大などによる気管支の圧排が主な原因と考えられていたが、実際は慢性炎症によることの方が多い。


156-2

>画像所見 : 胸部単純X線像(CTscout view)で、右肺門陰影が腫大し、右心2弓もシルエットアウトしている。CTでは肺門部腫瘤とリンパ節腫大が明らかで、中葉は完全に無気肺化していることがわかる。
>診断 : 肺癌に伴う中葉無気肺
>解説 : 
中葉・舌区は気道側副路の発達が悪く、炎症が遷延しやすいことが知られているが、中葉症候群の原因として、肺癌は必ず鑑別しなければならない。
<メモ>
・高齢者の繰り返す肺炎は癌、若年成人の繰り返す肺炎は肺分画症を疑え。
・高齢者の治療抵抗性の肺炎は癌を疑え。

 156-360歳代、男性。男性。慢性の咳嗽。

>画像所見 : 胸部単純X線写真正面像では右下肺内側が暗くなっており、右心第2弓の輪郭が不明瞭(シルエットアウト)。側面像では肺門部から前肋横角に向かう紡錘形の陰影(↓)がみられる。
>診断 : 中葉無気肺
>解説 : 
無気肺化した中葉は正面単純写真では右心第2弓を底辺とする三角形の陰影を形成するが、第2弓のシルエットアウトが唯一の所見であることも多い。側面単純写真では無気肺化した中葉は葉間胸膜で境界された明瞭かつ濃厚な陰影として確認できる。

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