日々の症例 148 左横隔膜弛緩症に伴う胃短軸捻転




14870歳代、女性。嘔吐

>画像所見 : 左横隔膜が高位。このため胃も上方に偏位し、逆α型に短軸捻転を起こしている。バリウムの通過は保たれている。
>診断 : 左横隔膜弛緩症に伴う胃短軸捻転(Volvulus of stomach
>解説 : 
横隔膜弛緩症や重度の食道裂孔ヘルニアがあると、胃はひっくり返って短軸捻転を引き起こすことがある。長軸捻転(臓器軸性)と異なり、短軸捻転(腸間膜軸性)は急激に発症し、放置すると穿孔することもあるので要注意。

<メモ>横隔膜弛緩症:
肺癌浸潤などによる横隔膜神経麻痺、重症筋無力症や多発性筋炎などの筋原性、横隔膜筋層の先天性形成不全、外傷、等々の原因で横隔膜が全体あるいは部分的に高位にある状態。約70%は原因不明。一側全体の弛緩症は左側に圧倒的に多く、患側横隔膜の呼気時の上昇が目立つ。部分弛緩症は右横隔膜に多く、特に右前内側に好発し、心横隔膜角の腫瘤像としてみられる。患側横隔膜は、正常な呼吸性移動が減少あるいは消失する。また、逆運動現象(paradoxical movement)をみとめることがあり、クンクン匂いをかぐ rapid inspirary sniffでより明瞭になる。


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