日々の症例 14 大腸腺腫症 




14) 30歳、男性。軟便。

>画像所見 : 大腸全域に数ミリ前後のポリープが多発している。特にS状結腸に密集している。
>診断 : 大腸腺腫症 (adenomatosis coli)
>解説 : 大腸腺腫症は大腸を中心とした消化管にポリープが多発する常染色体優性の遺伝性腫瘍症である。放置すれば確実に大腸癌を合併して死亡する。以前は家族性大腸ポリポーシス (familial polyposis) の名称が用いられ、骨腫、歯牙形成異常あるいは軟部腫瘍を伴う場合はGardener症候群 (あるいは大腸腺腫症の Gardener type) と呼ばれる。本患者の父と叔父はすでに大腸癌で死亡しており、叔母と兄も大腸腺腫症を発症し大腸全摘が施行されている。本患者もいずれ大腸に多数の腺腫性ポリープが出現するとの予測のもとに経過観察が行われていた。癌を併発する前に手術を行えば予後は比較的良好である。

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