日々の症例 138 癌性腹膜炎




138-170歳代、男性。進行胃癌

>画像所見 : 
US:混濁した腹水内で大網が高エコーに描出されている()。小腸は背側で一塊となっており、探触子で揺すっても浮遊しなかった。
CT:大量の腹水が貯留しており、大網が索状構造を伴う脂肪織として確認できる()
>診断 : 癌性腹膜炎(peritonitis carcinomatosa

>解説 : 
大網が分厚い高エコー帯として描出されており、いわゆる omental cakes の状態と考えられる。小腸は大量の腹水中では海草のように浮遊する様子が観察されるはずだが、癌性腹膜炎では小腸と腸間膜が一塊となり、背側に固定されてしまう。USは胸腹水の性状診断(混濁しているかどうか)にも威力を発揮する。

138-260歳代、女性。卵巣癌

>画像所見 : 腹壁直下で大網が不均一に肥厚(omental cakes)しており、癌性腹膜炎の典型像である。
診断 : 癌性腹膜炎
解説 : 卵巣癌は発見された時点で既に腹腔内播種を伴っていることも多い。播種の好発部位の第一は大網。この他にも腸間膜、ダグラス窩、横隔膜下、肝表面、傍結腸溝、などが挙げられる。


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