日々の症例 135 肝血管腫




135-150歳代、女性。スクリーニングUSで肝腫瘍を指摘された。

>画像所見 : 肝S315mm大のLDA()があり、造影CT早期相で辺縁部から増強され、実質相ではほぼ全体が濃染している。この腫瘤の背側には1cm大のliver cystもみられる。
>診断 : 肝血管腫(cavernous hemangioma of the liver

>解説 : 
肝血管腫は肝良性腫瘍中もっとも高頻度にみられ、剖検例の検討では0.47.3%の頻度でみられる。本例は、典型的な肝血管腫の濃染パターンを示しており、size も小さいことから、1年毎のUSによるfollow upで十分と思われる。

 135-270歳代、男性。

>画像所見 : 単純CTでみられるLDAはややいびつな形状を示し、HCCでみられるような緊満感がない。造影CTでは辺縁部からcotton wool様に濃染が始まり、門脈相から後期相にかけてほぼ均一に腫瘤全体が濃染、持続している。典型的な肝海綿状血管腫といえる。
診断 : 肝血管腫

<メモ>
 肝腫瘤の精密検査としては、造影剤を急速静脈して経時的に血行動態を観察するダイナミックスタディーが一般的である。下記のタイミングで撮像が行われる。当院では、動脈相と門脈相の撮像を基本とし、肝血管腫との鑑別を要する場合に限って後期相の撮像を追加している。
1)動脈相 :
   造影剤注入開始から約30秒後で、造影剤が肝動脈〜門脈内に分布する相。
   さらに早期動脈相と後期動脈相に分けて撮像することもある。
2)門脈相(実質相):
   70秒前後で、門脈〜肝静脈が最もよく造影される相。
3)後期相(平衡相、遅延相):
   2分以降で、血管と細胞外液中の造影剤が平衡状態となり、腎から造影剤が排泄される過程の相。
4)肝細胞相:MRIEOBプリモビスト使用時
   1020分後。プリモビストは肝細胞に特異的に取り込まれる。従って、正常肝実質が高信号になり、肝腫瘤は相対的に低信号に抜ける。


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