日々の症例 12 甲状腺癌の肺転移




12-150歳代、男性。 咳嗽

>画像所見 : 両側中〜下肺野を中心に小粒状影が多数分布している。右頚部に粗大な石灰化巣がみられ、甲状腺腫瘍の存在が疑える。
>診断 : 甲状腺癌の肺転移

>解説 : 
びまん性に小粒状影がみられる代表的肺疾患としては、粟粒結核、転移性肺癌、サルコイドーシス、珪肺があげられる。サルコイドーシスは肺門リンパ節腫大を伴うことが多く、中〜上肺野に変化が強い。珪肺も上葉に変化が強いのが通常であり、職業歴の詳細な問診で鑑別できる。粟粒結核と転移性肺癌はいずれも血行性に発生するため中〜下肺野に多く分布する傾向がある。びまん性小粒状影をきたす転移性肺癌の原発巣としては甲状腺癌と悪性黒色腫が代表的であるが、本例では甲状腺に一致して粗大石灰化がみられることからも甲状腺癌からの肺転移を第一に考えなければならない。

 12-270歳代、女性。甲状腺癌術後の多発肺転移

>画像所見 : 両側中〜下肺野を中心に大小不揃いの結節影が多数分布している。
診断 : 甲状腺癌の肺転移
解説 : 個々の結節は微小なものでも境界明瞭でくっきりと確認できる。大小様々な大きさの境界明瞭な結節影が中下肺優位に分布していればまず転移性肺癌を考える。

                                                  寺元記念病院画像診断センターへ