日々の症例 113 子宮腺筋症  



 


113-1) 40歳代、女性。月経困難症



>画像所見 : 子宮体部は後壁優位で腫大している。T2強調像で境界不明瞭な低信号化がみられ、内部に微細な点状高信号も多発している。 junctional zone もはっきりしない。
>診断 : 子宮腺筋症(adenomyosis

>解説 : 子宮腺筋症は異所性の子宮内膜が、筋層内に侵入することによって生じる。びまん性に広がるため、治療法としては子宮摘出術が選択されることが多い。子宮筋腫との鑑別が重要となるが、腺筋症では、
1)内膜の圧排がないこと
2T2強調像で病巣の辺縁が不明瞭あるいは不整であること
3)周囲に拡張した血管が認められないこと
などから鑑別は比較的容易である。 但し、子宮腺筋症と子宮体癌が合併することもまれではないので、腺筋症の診断に際しては子宮内膜〜内腔の性状にも注意を払わなければならない。


113-2) 40歳代、女性。月経過多で来院。

画像所見 :
MRI
: 子宮体部後壁は腫大し、内部に点状高信号が散在している。Junctional zoneは不明瞭で、病変と一塊になっている。T1 強調像でも点状高信号を認め、微小出血を伴っていることが分かる。
診断 : 子宮腺筋症(adenomyosis
解説 : 子宮内膜症のなかでも、子宮内膜組織が子宮筋層内に異所性に増殖して子宮の腫大をきたしたものを子宮腺筋症と呼ぶ。臨床的に子宮筋腫との鑑別が問題になるが、MRIの出現によって両者の鑑別は比較的容易となった。基本的には、子宮筋腫は境界が明瞭であるのに対して、子宮腺筋症は境界が不明瞭である。T2 強調像でみられる点状高信号は異所性内膜そのものを反映していると考えられており、同部の微小出血がT1 強調像で高信号域として確認できることも多い。

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