日々の症例 112 異物誤飲



112異物誤飲

112-1) 1歳代、男児。

>画像所見 : 腹部単純写真でボタン型アルカリ電池が2個写っている。胃のガスとは離れており、既に小腸あるいは大腸に達していると思われる。
>診断 : ボタン型アルカリ電池誤飲

>解説 : 電池が胃内に長く停滞すれば胃酸で電池が溶けだして、胃穿孔をきたす危険性がある。従って、電池が胃内にあればマグネットチューブを経口的に胃内に挿入して取り出す方が無難である。本例は来院時既に小腸〜大腸に達しており、便と共に排泄された。


112-280歳代、女性。

>画像所見 : 胃内にairで囲まれたhigh densityの錠剤がみられる。
>診断 : 
PTP誤飲
>解説 : 
6時間前に薬剤(メチコバール)をPTP包装ごと服用してしまったかもしれないとのことで来院した。PTP(press-through-package)の材質には塩化ビニル+アルミ箔、あるいはポリプロピレン+アルミ箔が用いられている。前者はCTに写る(A)が、後者は写らない(B)。錠剤自体も成分によってX線吸収は様々である。PTPの基本的なCT像は、空気に取り囲まれたhigh density の錠剤を探すことだが、アルミ箔が破れていればドーム部の空気は消失してしまい、画像診断は困難となる。
本例は2日後に便と共に排出された。



112-31時間前に包装ごと錠剤(ホリタゾール錠)を服用してしまった。

>画像所見 : 詳細に観察すれば、胃体上部にair density で囲まれたisodensity の錠剤が疑える。ウィンドウを広げて観察すればさらに明瞭になる。直ちに内視鏡検査を行い、回収した。
>診断 : 
PTP誤飲
>解説 : 
本例では錠剤自体が112-2)のようなhigh densityではないので、「PTPを誤飲した!」という確実な臨床情報がなければ画像診断は困難と思われる。また、本錠剤(ホリタゾール錠)のPTP包装材質は塩化ビニルなので、CTの水槽実験ではhigh densityに写っているが、実際には撮像方向やスライス厚などの関係で、必ずしもhigh densityに写るとは限らない。
 錠剤のPTP包装は1960年代から急速に普及が進んだ。少なくとも1錠ずつ切り離せないように縦あるいは横方向にのみミシン目が入れられているが、わざわざはさみで切り離して1回服用分ずつ小分けにする方も多いようで、誤飲の最大の要因となっている。

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