110) 40歳代、男性。大量飲酒後の吐血で入院。呼吸困難。 |
>画像所見 : 胃泡の液面形成がみられず、肩甲骨も外側に逃げていないので、いずれも臥位で撮影されていることが分かる。 両肺にairbronchogramを伴う巣状の肺胞性陰影が分布している(A)。2日後には陰影は増大し、蝶形様になっている(B)。上縦隔の拡大はみられない。また、臥位であることを考慮すれば、心拡大があるとはいえない。 >診断 : 成人呼吸促拍症候群(Adult Respiratory Distress Syndrome:ARDS) >解説 : 本例はマロリーワイス症候群で入院となったが、急速に呼吸状態が悪化し、気管内挿管が必要となった。ARDS は血管の透過性亢進による非心原性肺水腫で、shock lung などとも呼ばれる。重症外傷、DIC、敗血症、酸素中毒、有毒ガス吸入、ショック、大量輸血などが原因としてあげられる。画像上は心不全による通常の急性肺水腫と紛らわしいことも多いが、ARDSの陰影の分布は肺門部よりも末梢側優位のことが多い。心拡大と胸水貯留の有無も両者の鑑別上重要である。 寺元記念病院画像診断センターへ |