日々の症例 106 血管内の異物回収                        





106-1) 60歳代、女性。心臓内の異物回収

  

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>画像所見 :  シングルチャンバー心室ペースメーカのリード線が目立つ。右房〜右室内に迷入したIVHカテーテルの断片がみられる。右femoral veinを穿刺し、8Fシースを挿入。6Fカテーテル内に0.014インチワイヤーを二つ折りにして挿入し、ループ法で右心系に流入したIVHカテーテル片を捕捉、回収した。
>診断 : 心臓内に流入したIVH断裂カテーテルの回収
>解説 : 
心臓内に流入した断裂カテーテルの回収のため、他院より緊急搬入された症例である。IVH挿入時や抜去時、あるいは無謀な自己抜去によってカテーテルが断裂して心臓内〜肺動脈内に流入してしまう事故がごくまれにある。私自身は、IVR radiologist として30年間で本例を含めて7例の断裂カテーテルの回収を行ってきた。最近は、バスケットワイヤーやスネアワイヤーといった専用の異物回収セットも市販されており、安全に血管内異物回収が行える。

106-2) 80歳代、女性。またまた血管内の異物回収

>画像所見 : 断裂した中心静脈カテーテルが肺動脈から右心系を通って右肝静脈にかけて迷入している。遺残カテーテルの両端はいずれも血管壁と接しており、ループを掛けられなかったため、pigtail catheter で遺残カテーテルを絡めて下大静脈まで引き抜き、次いで、0.014 インチ のワイヤーを二つ折りにして作成したループでカテーテル遊離端を捕獲して体外に回収した。
>診断 : IVH断裂カテーテルの回収
>解説 : 体内に流入した断裂カテーテルの回収のため、他院より紹介された症例である。IVH を入れ替える際に、固定用の糸と共にカテーテルも切ってしまったものと思われるが、本来、あってはならないことである。本例の主治医(他病院、外科医)は2年前にも同様のカテーテルトラブルを起こしている!



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