日々の症例 97 腹部の石灰化                         





97-1) 小骨盤腔の石灰化 3症例

  

A : 子宮筋腫の石灰化と子宮内避妊リング(IUD)
 子宮筋腫は様々な程度に変性を伴い、数%の頻度で石灰化を伴う。粗大石灰化が集蔟したいわゆる桑実状の石灰化が特徴的である。
B : 膀胱結石
 膀胱結石は平滑な球状のことがほとんどで、子宮筋腫の石灰化のようなゴツゴツとした形状のことはまれである。下部尿路の通過障害や尿の感染が結石の形成と増大に関与している。 
C : 静脈結石
 骨盤内静脈にはしばしば小結石が形成され、尿管結石との鑑別を要する。血流の鬱滞によって形成された静脈内血栓が器質化して石灰化をきたしたもので、加齢による生理的変化と考えられている。病的意義は乏しい。
97-2) 腹部単純写真 3症例

A : 子宮筋腫の石灰化
 ゴツゴツとした形状で、子宮筋腫の石灰化に特徴的。
B : 大腸憩室内のバリウム
 胃透視や注腸X線検査後にバリウムが長期間大腸憩室内に停滞することは稀ではない。
C : サンゴ状腎結石(staghorn calculus)
 結石が腎盂・腎杯を鋳型状に占めている。最近はサンゴ状結石に対しても体外衝撃波結石破砕術(ESWL)が行われ、良好な治療成績が報告されている。
 

                                                    
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