4) 腹部違和感のスクリーニングとして実施した注腸X線検査 2症例 |
>画像所見 : 盲腸〜上行結腸に粘膜の萎縮帯と粗造化および偽憩室がにみられる。回盲弁は開大し、バリウムは容易に回腸に逆流している。症例1では上行結腸の短縮も強く、このため終末回腸は尾側から頭側に走行している。 >診断 : 腸結核 (治癒像) >解説 : 結核菌を含む喀痰の嚥下によって腸管に侵入した結核菌は粘膜下層のリンパ濾胞に入り、そこに結核結節を形成する。この結節は速やかに決壊、潰瘍化し、ここから腸管を輪状にとりまくリンパ管に沿って広がり、帯状、輪状潰瘍を特徴とする腸結核が形成される。結核性リンパ節炎の合併はほぼ必発で、腸間膜リンパ節石灰化の多くは結核の既往による変化である。肺に結核病巣を認めることが多いが、認められないこともある。好発部位は回盲部で、空腸下部、回腸などがこれに次ぐ。最近は、注腸X線検査で本例のような腸結核の治癒像を認めることはまれとなったが、注腸像は疾患特異的である。 <メモ> ・腸結核の所見 : 1) 正常粘膜に囲まれた潰瘍 (discrete ulcer)。 2) 区域性病変。地図状あるいは帯状、輪状潰瘍。 3) 治癒傾向が大で、潰瘍瘢痕にもとづく萎縮帯、粘膜の粗造化、偽憇室。 4) 活動性病変と治癒像の混在。 5) リンパ組織に富む回盲部に好発。 6) 回盲弁不全、開大。上行結腸の短縮。 |