日々の症例 39 エナメル上皮腫 



 


39) 19歳、男性。齲歯治療の際に下顎骨の骨透亮像を指摘された。


>画像所見 : 単純CTとパノラマX線断層像。左下顎骨智歯部に約2x3cmの境界明瞭な単房性腫瘤がみられ、埋伏歯を含んでいる。CTでは下顎骨骨髄内を前後に発育,膨隆し、骨皮質の菲薄化が確認できる。パノラマX線断層像では隣接する第2大臼歯の歯根の吸収像が明らかである(←)。
>診断 : エナメル上皮腫(ameloblastoma)
>解説 : 原則的には良性腫瘍であるが、局所再発率が高い。本例のような単房性で埋伏歯を有する場合は含歯性嚢胞(dentigerous cyst)との鑑別が難しいが、パノラマX線断層像では隣接根尖の吸収像が明らかで、エナメル上皮腫に代表される歯原性腫瘍を疑う根拠となる。埋伏歯を有さない場合は歯原性嚢胞との鑑別は難しいが、CTあるいはMRIで造影効果があればエナメル上皮腫の可能性が高くなる。但し、歯原性嚢胞も炎症を伴うと造影効果がみられるため鑑別困難なこともある。本例は生検でエナメル上皮腫の確診を得て手術が施行された。

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