日々の症例 31 食道裂孔ヘルニア



 

31-1) 70歳代、女性。胸やけ。


>画像所見 : 胸部単純X線正面像で心陰影に重なって手拳大の腫瘤影があり、内部にair densityを有している。一方、左横隔膜直下に存在するはずの胃泡のair densityが確認できない。CTでは食物残渣で拡張した胃が胸腔に存在しているのが明らかで、大動脈は右方に偏位している。
>診断 : 食道裂孔ヘルニア(滑脱型)
>解説 : 食道が横隔膜を貫く食道裂孔を介して胃が胸腔内に脱出するもので、滑脱型と傍食道型に大別される。傍食道型は極めてまれで、滑脱型食道裂孔ヘルニアが90%以上を占める。高齢女性に多い。無症状のことも多いが、食道・胃逆流を伴うため、胸焼けなどの逆流性食道炎の症状を呈しうる。
 

31-2) 70歳代、女性。胸やけ、心窩部痛

>画像所見 : 31-1)同様、胸部単純X線像では心陰影に重なって大きなガス像がみられる。バリウム胃X線像およびCTでは食道と並列して胸腔に脱出した胃が確認できる。
>診断 : 食道裂孔ヘルニア(傍食道型)

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