201)60歳代、男性。 |
>画像所見 : 左腕頭静脈は右腕頭静脈と合流することなく、大動脈弓に沿って下降し、気管と上行大動脈の間を走行し、右上大静脈と合流して?右房に注いでいる(←)。 >診断 : 左上大静脈遺残(persistent left superior vena cava、double SCV) >解説 : 正常であれば左腕頭静脈は大動脈弓部の前面を横切って右腕頭静脈に合流して上大静脈になるが、本例では左腕頭静脈が上行大動脈の後方をくぐって右房に注いでいる。左上大静脈は冠状静脈洞に注ぐことが多いが、本例では右房直前で右上大静脈と合流しているようにみえる。発生頻度は健常人で0.3〜0.5%、先天性心疾患があると約10倍増加する。血行動態的には異常はないので、他の心奇形などがなければ無症状。但し、心臓手術などに際しては通常の体外循環回路では心臓への返血が止まらないので、脱血管が1本余分に必要になる(あるいはクランプする必要がある)。 大動脈弓部に接して走行する異常血管がみられる病態としては以下の3つがあげられる。 1)左上肋間静脈 left superior intercostal vein 2)左上大静脈遺残 persistent left superior vena cava 3)部分的肺静脈環流異常 partial anomalous pulmonary venous return いずれも頭側では左腕頭静脈に合流するが、尾側では1)は副半奇静脈、2)は主に冠状静脈洞、3)は肺静脈に連続することで鑑別できる。168)参照 |