184)20歳代、男性。右頚部腫瘤。 |
>画像所見 : US:右頚部で胸鎖乳突筋後面を中心にリンパ節腫大が多数みられる。一部のリンパ節は互いに融合し、内部は混濁した液状で、流れ動く様子もリアルタイムに観察できた。 CT:単純CTでは境界不明瞭なリンパ節腫大が多数みられ、造影ではring enhancementが明らかで、壊死傾向の強いリンパ節腫大であることが分かる。 >診断 : 結核性リンパ節炎(Lymphadenitis coli tuberculosa) >解説 : 結核性リンパ節炎(通称、リンコリ)の約9割は頚部リンパ節に生じ、若年者にも好発する。通常、ツベルクリン反応は陽性となるが、肺などに活動性結核病巣を認めないことも多い。小さくても中心壊死(乾酪壊死)を認めるため、造影CTで ring enhancement を示すことが特徴的。画像上は、化膿性リンパ節炎や嚢胞性リンパ節転移、炎症を合併した側頚嚢胞などとの鑑別を要するが、臨床的に鑑別は比較的容易である。 本例は、約1ヶ月前から肩こりがあり、次第に頚部腫瘤が出現してきたため来院した。腫瘤には圧痛や熱感はなかった。ツ反が強陽性、穿刺吸引で得られた リンパ節内容物のPCR法も陽性で、結核性リンパ節炎と確定診断した。肺からの結核菌の排菌はなく、約1年間の外来での抗結核治療で完治した。 |