症例 173 膵漿液性嚢胞腫瘍




173-170歳代、女性。スクリーニングUSで膵病変を指摘された。

>画像所見 : 膵尾部に多房性嚢胞がみられ、内部に粗大な石灰化を有している。MRCPでは大小不揃いの嚢胞の集蔟像が明瞭に確認でき、中心部には線維性瘢痕と石灰化巣が低信号域として認められる。
>診断 : 膵漿液性嚢胞腫瘍
 
serous cystic neoplasmSCN
>解説 : 
2cm以下の嚢胞が集蔟し、中心部に線維性瘢痕と石灰化がみられるような典型例の診断は容易だが、嚢胞が小さすぎて充実性腫瘍のようにみえるもの、あるいは個々の嚢胞が大きく粘液性嚢胞腫瘍との鑑別が難しい症例もある。malignant potential とされている粘液性嚢胞腫瘍と異なり、漿液性嚢胞腺腫は原則として良性だが、悪性例の報告もある。

 173-230歳代、女性。検診のUSで膵腫瘍を指摘された。

>画像所見 膵体部に石灰化を伴う嚢胞性腫瘤がみられる。MRCPでは腫瘤が微小な嚢胞の集簇からなっていることがさらに明瞭である。主膵管の拡張はない。血管造影では背側膵動脈をmain feeder として腫瘍濃染がみられる。
診断:膵漿液性嚢胞腫瘍(serous cystic neoplasm
解説:SCNserous cystic neoplasm)はmicrocystic typemacrocystic type に分けられるが、本例は典型的なmicrocystic typeである。

                                                   寺元記念病院 画像診断センターへ