日々の症例 120 結節性多発動脈炎  



 


120) 60歳代、女性。
腹腔内出血に対する緊急血管造影。


>画像所見 : 
A:腹腔動脈、B:左胃動脈、C:上腸間膜動脈、D:超選択的空腸動脈枝 腹部の中小動脈に小動脈瘤が多発している。特に左胃動脈には数珠状に小動脈瘤がみられる。上腸間膜動脈の空腸枝に造影剤漏出を伴う2cm近いgiant aneurysmがあり()、大量の腹腔内および消化管出血の原因と考えられた。この空腸枝に超選択的にカテーテルを挿入し、TAEを行うことで止血に成功した。
>診断 : 
結節性多発動脈炎 (polyarteritis nodosa)
>解説 : 
原因不明の発熱、腹痛、下血の精査目的で入院中であったが、強い腹痛と下血がみられ、CTで多量の腹腔内出血が確認されたため緊急血管造影を施行した。
 PN は全身の中・小動脈を侵す原因不明の肉芽腫性血管炎で、自己免疫異常の関与が疑われている。血管造影で多発する小動脈瘤が確認できれば疾患特異的である。


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