171)X線陰性胆石 |
>画像所見 : CTでは胆嚢内に淡いリング状の高濃度がみられることから胆石の存在が疑える。USでは胆嚢底部に音響陰影を伴う2cm大の胆石が明らか。 >診断 : 胆嚢内結石 >解説 : この胆石は辺縁に石灰化を有しているため、CTでもかろうじて淡いリング状の高濃度として確認できる。X線を利用するCTではカルシウム成分を有さない純コレステロール結石などは診断できない。胆嚢病変に関する画像診断の第一選択はUSである。「胆石のR/O 」でCTを依頼する無知は困ったものだが、USで胆石と診断しているにもかかわらず、「CTでも確認を」といった検査依頼には閉口する。 |
171-2)70歳代、男性。無症状。 |
>画像所見 : USでは典型的なコレステロール結石がみられ、体位変換で可動性も確認できた。CTでは胆嚢壁がやや肥厚してみえるが、胆石は確認できない。胆嚢に接して大きな腎嚢胞(※)がみられる。 >診断 : 胆嚢内結石 >解説 : 原則として、カルシウム成分のない結石はCTでは描出できない。コレステロール成分が多い場合には、胆汁よりも低濃度の陰性結石として確認できることはある。胆石は胆嚢癌のリスクファクターである。超音波検査時に胆石がみられた場合、音響陰影に隠れた小病変を見逃さないためにも、体位変換で胆石を移動させて胆嚢壁を詳細に観察すべきである。 |
171-3)70歳代、女性。右季肋部痛。 |
>画像所見 : CTでは胆嚢内腔に星芒状のガス像が2個みられるが、石灰化成分を有する胆石は確認できない。脂肪肝とS4に肝嚢胞あり。USでは音響陰影を伴う胆石が明らか。この胆石エコーの前面は直線状で、通常の胆石でみられる弧状の高エコーとはやや異なっている。 >診断 : 含気性胆石 >解説 : コレステロール石ではまれに結石内部にガスを含むことがあり、ガスの形状がメルツェデスベンツ車のマークに似ていることからMercedes-Benz sign、あるいはカラスの足跡に似ていることからcrow-foot signなどと呼ばれている。気腫性胆嚢炎と間違ってはならない。長く経過を見ていると、含気性胆石は割れて複数の胆石になることもまれではない。 <胆石の分類> 2)色素石 3)まれな胆石 |